2025 年 31 巻 p. 103-108
支川合流部に設置された水門を逆流防止のために閉扉する操作に際して,流向の判断が難しい場合があることが従来から課題とされていた.水門の遠隔・自動操作の必要が操作員の高齢化等に伴って増す中で,現場での臨場確認なしで流向を判断することはさらに難易度が高くなる.本研究においては,以上の課題に対応した解決策を求めるための最初のステップとして,支川合流部での流行が逆転する前後における流向・流速の数値シミュレーションを,筑後川の新桂川水門で実施した.その結果,水門断面における流れの不均一性が確認されるとともに,水門操作タイミングの判断に改善の余地があることが確認できた.このほか,GPS浮子による流向・流速の観測を行い,数値シミュレーション結果と類似した結果が得られた.