河川技術論文集
Online ISSN : 2436-6714
砂州波高が浮遊砂の堆積特性へ与える影響に関する実験的検討
新妻 友太南 まさし片山 直哉吉武 央気長浜 和宏池田 啓彰島田 立季水田 圭亮
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2025 年 31 巻 p. 151-156

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抄録

本研究では,河床低下・粗粒化・二極化が進行したダム下流河川に対する土砂還元を想定し,河道管理の中で行われる砂州波高の切り下げが還元土砂の堆積特性へ与える影響を把握することを目的とした水理模型実験を実施した.実験では,浮遊砂形態での輸送が主体と考えられる微細砂の影響に着目し,砂州波高が異なる2ケースの固定床化した交互砂州を対象とした.これに平均年最大流量相当をピークとする減水期を対象とした流量と微細砂を供給し,その時間的・空間的堆積特性を評価した.実験の結果,砂州波高を切り下げると,河道全体としての微細砂の捕捉率向上が見られ,河床低下・粗粒化対策としての有用性が確認された.一方で,再二極化に与える影響については,砂州では増水期における堆積を促進し,再二極化を進行させる方向に作用した.澪筋では減水期における流出が抑制されるため,再二極化を抑制する方向に作用した.二極化解消を目的とした微細砂還元を行う際には,微細砂が砂州上で輸送されない程度の流量条件を狙って検討することが望ましいと考えられる.

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