2025 年 31 巻 p. 187-192
記録的短時間大雨に伴う堤防決壊が頻発化する近年,粘り強い河川堤防が求められている.筆者らは,河川堤防裏法面浅層部に敷設した破砕貝殻をネットに詰めた透水性表面被覆工の越水時侵食抑制効果をフィールド実験(堤高2 mの裏法面を想定した傾斜水路(勾配 1:2)による越流実験)により検証した.一方で,傾斜水路を用いた実験であるため,透水性表面被覆工下に位置する堤体の安定性(パイピングや吸出しなど)に関しては検証されていない.以上より,表面被覆工による侵食防止・抑制対策の課題の1つとして,越流時において発生する可能性がある表面被覆工下のパイピングや吸出しによる堤体の安定性検討が必要である.本研究は,透水性表面被覆工を設置した堤体裏法面に対し,多孔質層内外の流れを統一的に表現可能な粒子法SPHによる解析手法を適用し,表面被覆工の設置方法や透水性の異なる場合における越流時の流速および水圧分布を基に,吸出し等に対する堤体の安定性を数値解析的に明らかにした.