2025 年 31 巻 p. 199-204
安倍川は日本屈指の急流河川であり,大きな河床変動と澪筋の変動に伴う偏流が,河床洗掘や河岸侵食被害を助長しているため,対策工として多くの護岸や水制工等の整備を推進してきた.平成28年度には新たな対策工として,急流河川において特に平均年最大流量程度の中小洪水に有効とされる巨石付き盛土砂州の整備に着手した.右岸8.5k,左岸8kにて先端部の試験施工を実施した結果,令和元年までに生起した洪水に対し,澪筋を河岸から離し河道中央へ誘導する効果が確認された.その後,令和3年度に巨石付き盛土砂州右岸8.5kの中央部を整備し,令和4年9月台風第15号による氾濫危険水位を超過した大規模洪水に対しても河岸防護効果を発揮した.本稿では,これまでの継続的なモニタリングから,安倍川では巨石付き盛土砂州が幅広い洪水規模に対して治水効果を発現する工法となり得ることを報告する.