2025 年 31 巻 p. 205-210
河川技術論文集第30巻において,著者は,現在の河川堤防浸透技術において研鑽すべき課題の一つとして,現地で起きた破堤現象の説明力不足,特に1976安八破堤現象を説明できない点を指摘した.本報告は,1976安八破堤について,水防当事者である安八町がまとめた「9.12豪雨災害誌」から,現場で起きた変状の推移を読み取り,堤防浸透破壊外力である外水位と降雨量を見つつその内容を整理した.併せて,破堤現象の説明力を高める上で着目すべきポイント,安八町区間の堤防強化経緯について考察した.本報告内容は,安八破堤の現象理解とメカニズム説明力を高める技術開発・検討において,考慮すべき要因・項目の設定,再現性の確認に活用できる.今後の河川堤防浸透技術向上が期待される.