2025 年 31 巻 p. 481-486
気候変動の進行に伴い,流域治水施策の整備量や施設数という量的拡大と併せて治水計画や施策の不確実性の減少という質的充実による治水機能の向上が重要となる.本研究では,太田川水系において小流域における多点水位観測による流出解析の再現性向上,再現性の良い洪水解析モデルを用いて洪水調節施設の安全度評価及び洪水流の全エネルギー水頭を用いた洪水リスクの評価,さらに高リスク箇所において堤防脆弱性指標により堤防破壊のリスクを評価し,堤防余裕高の活用を提案した.また治水計画における不確実性を整理し,治水計画立案プロセス及び治水計画実施プロセスにおける不確実性への対応について検討した.今後流量負荷の増加が懸念される中で河道・堤防における安全性の評価方法の確立と余裕高の活用による堤防機能の質的充実(危機管理型堤防)の実現を目指している.