2025 年 31 巻 p. 49-54
本研究では,滋賀県犬上川中下流域を対象に湧水域を主な生息地とする希少淡水魚ハリヨ(Gasterosteus aculeatus subsp.)の保全・再生手法を検討した.無人航空機(UAV)に搭載したマルチスペクトルセンサー ALTUM-PTで取得した月次熱赤外画像データと二次元不定流解析で得られた頻度別水理諸量(水深・流速など)を説明変数,ハリヨの生息データを被説明変数としてMaxent(Maximum entropy modelling)を用いて種分布モデルを構築し,湧水のあるO型の淵がハリヨの生息適地であることを示した.さらに,二次元河床変動解析により,湧水地点上流側に上向き水制を設置することで適地が形成され,適地推定モデルの予測では当該箇所でハリヨの生息確率が約20%上昇することを確認した.