2025 年 31 巻 p. 55-60
本研究では,湧水河川である静岡県柿田川を対象に,希少水生植物であるミシマバイカモ(Ranunculus nipponicus var. japonicus)の生育ポテンシャルマップを試作した.このマップは,ミシマバイカモの在・不在データを応答変数,水深・流速・日射量を説明変数とした一般化線形モデルにより生育確率の空間分布を表現したものである.2024年度に柿田川自然再生事業の一環として実施されたミシマバイカモ再生試験において,作成したポテンシャルマップと特定外来生物オオカワヂシャ(Veronica anagallis-aquatica)の分布を重ね合わせ,4箇所の試験地を特定して移植実験をしたところ,移植後5ヶ月を経過した時点において,3箇所でミシマバイカモの活着が確認された.