河川技術論文集
Online ISSN : 2436-6714
河川における群落クラスタ構築とその成立要因-長良川中流域を対象とした植生予測・評価の試み-
宮脇 成生安田 悠乃江口 健斗萱場 祐一
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 31 巻 p. 43-48

詳細
抄録

河川植生を予測・評価するための試みとして,既往の植生図から「群落クラスタ」を構築し,河川物理環境特性との対応を解析した.ここでは,長良川の2地区において,対象範囲の4年代(2007,2012,2017,2022年)の植生図を5m×5m格子に区切り,階層的クラスタリングを行った.その結果,同じクラスタに分類された格子は空間的に集まって分布しており,出現する群落が異なる群落クラスタを構築することができた.群落クラスタの中には,河川に依存性の高い「氾濫原」の群落が主体のクラスタがあり,これは河川域における保全重要性の高いクラスタと位置づけられると考えた.また,各群落クラスタと河川物理環境特性の対応については,2007~2022年の最大相当流量(6000m3/s)に対する水深と摩擦速度について検討し,統計的に有意な関係が認められた.以上より,既往植生図から群落クラスタの構築が可能であること,河川特性との対応から各群落クラスタの予測の可能性が示された.さらに,群落クラスタと河川管理における保全重要性の位置づけが可能であることを示すなど,実務への実装の基礎となる知見が得られた.

著者関連情報
© 2025 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top