2025 年 31 巻 p. 511-516
豪雨対策として導入されたXバンドMPレーダ雨量計(XMP)は,二重偏波を用いたKDP法が可能な強雨 の精度が,従来のレーダ雨量計よりも高い.一方で,従来の単偏波でのZR法を用いる弱雨や降雪観測は精度改善の余地があり,降雪を含む冬季観測の精度が向上するとXMPの活用範囲が広がる.本研究では,冬季観測の精度向上を目指し,北海道札幌を対象にXMPを定量評価した.冬季の観測では①雪用の雨量変換係数Bβによる誤差②ブライトバンドによる雨量過大が,定量観測の障害となっている.①は雪の降水強度が雨に比べて小さく観測が難しいため最適値が決めにくいこと②は融解層を定量的に観測した事例が少ないことが現業での精度改善を困難にしている.2015/16の冬季を対象とした期間中で日降水量の絶対誤差が最大であった日は,レーダ雨量計が0°C高度付近を観測していることから②の影響が精度低下の原因と考えられる.この日の地上雨量計による日降水量は18.5mm,レーダ雨量計による日降水量は37.0mmで,相対誤差が100%であり,ブライトバンドにより降水量が約2倍に過大評価されたことがわかった.