2026 年 32 巻 p. 19-24
本研究は,河川環境の定量評価手法の確立を目指し,複数時期の植生図に基づく「群落クラスタ」の有効性を直轄管理区間において検証するものである.既往の研究では1km程度の短い区間を対象として群落クラスタを構築したが,本研究ではより広範囲の荒川上流,小貝川,鬼怒川の直轄管理区間を対象とした.対象範囲を5m格子で区切り,河川水辺の国勢調査で作成された4時期の植生図を用い,この4時期の植物群落の出現順序の類似性に基づくクラスタリング手法を適用し,各河川における群落クラスタを構築した.解析の結果,いずれの河川でも直轄区間全域を対象として群落クラスタを構築できることが示された.同一の群落クラスタにおける植物群落の内訳から,開放水面,自然裸地のように洪水により高頻度で撹乱を受ける領域,氾濫原性の草地・樹林地のように冠水による影響を受ける領域,外来種が生育する領域等に区分できることがわかった.さらに,洪水の撹乱により一旦侵入した外来種が優占する植物群落が再度,在来種の優占する植物群落に置き換わっている領域を抽出した群落クラスタも判別できた.