2026 年 32 巻 p. 319-324
利根川では,早期に洪水調節機能を向上させるため,既存インフラストックを有効活用した複数ダムの連携運用が求められている.本研究では,直列関係にある矢木沢ダムと藤原ダムを対象に連携運用手法を提案し,5 つの既往洪水事例へ適用することでその有効性を定量的に評価した.提案手法では,矢木沢ダムの放流量が将来的に藤原ダムへ到達することを操作判断に用い,藤原ダムにおいて連携操作を実施した.具体的には,藤原ダム流入量に同時刻の矢木沢ダムの放流量を加算した流量に基づいて藤原ダムの放流操作を実施した.その結果,すべての事例において,本連携運用により藤原ダムからの最大放流量を低減できた.特に,連携による事前放流によって,カスリーン台風では約380 千m3,令和元年東日本台風では約600 千m3の追加貯水容量を確保し,かつ最大放流量をそれぞれ22.11 m3/s,8.9 m3/s 低減させた.以上より,本研究で提案する連携運用手法は,藤原ダム地点での洪水調節機能向上に有効であることを示した.