2026 年 32 巻 p. 403-408
本研究は,富士川水系に属する扇状地の4支川を対象に,河道掘削後の植生遷移と生物多様性の変化を時空間的に評価したものである.22本の横断測線上に設置した計411プロットにおいて植生調査を実施し,240種の維管束植物を確認した.掘削後経過年数の異なる区間を対象にクロノシーケンスにより解析した結果,掘削後経過年数と比高が植生構造を規定する主要因であり,両者は独立した環境勾配として作用することが明らかとなった.植生は外来草本優占群落から二次草地群落を経て木本群落へと遷移し,各段階で異なる多様性特性を示した.特に中期段階の草地群落は複数の多様性指標で高い値を示した.また,多様性指標間にはトレードオフ関係が認められた.これらの結果から,河道掘削は適切な時間・空間配置により遷移段階のモザイクを形成し,多様性維持に寄与する可能性が示された.