2026 年 32 巻 p. 43-48
宮崎県耳川水系では,2005年台風14号の災害を契機に,河川管理者である宮崎県が2011年10月に耳川水系総合土砂管理計画を策定した.九州電力㈱は,本計画の中核的な事業としてダム通砂を実施しており,通砂によりダム下流の河床材料の粒度組成が変化し,生物の生息場の変化につながることが想定される.そのため,通砂の効果や影響を把握することは,今後の総合土砂管理を検討する上で有益である.既往研究では,河床粒度との関係性が深い種としてカマツカ及びボウズハゼを対象に,通砂前の現地調査データから出現予測モデルを構築し,通砂後の両種の出現ポテンシャルの変化を推定している.本研究では,通砂後の現地調査データにより予測モデルの精度検証を行い,既往予測と実測データを比較することで,本予測手法の有効性を検証するとともに,通砂による魚類への効果や影響を推定した.その結果,本予測手法は通砂効果等の事前予測に有効であることが示され,通砂がダム下流の砂分増加及びカマツカの生息場創出に寄与している可能性が示唆された.