2026 年 32 巻 p. 457-462
平成28年の北海道豪雨では,河川氾濫により農地土壌が大量に流亡する被害が発生し,営農再開に多大な期間と費用を要した.これを受け,北海道開発局と寒地土木研究所において,農地における水害リスク評価手法の開発に着手した.本研究では,その一環として,河川氾濫時の土壌流亡の発生条件を明らかにするために室内水理実験を実施した.農地土壌4種類を対象に,流量を段階的に増加させて通水し,侵食量と水理量の関係を分析した.その結果,農地土壌の侵食は水理量の増加に伴い連続的に進行するのではなく,特定の条件を境に侵食挙動が大きく変化する遷移的な現象であることが確認された.また,侵食速度は水深や流速などの水理量と強い相関を示した.これらの結果から,河川氾濫時の農地土壌流亡の発生条件を評価する指標として,流速などの基本的な水理量が有効である可能性が示唆された.