2026 年 32 巻 p. 493-498
本研究は,洪水浸水想定区域図等の「常時」の備えと,リアルタイム情報の「非常時」の間にある情報のギャップを埋めるため,予報降水量に基づき行政区画(町字)単位で浸水ハザードを推定できる「浸水ハザードデータベース(DB)」の構築手法を提案した.大規模アンサンブル気候予測データ(d4PDF)を用いた計720ケースの浸水解析結果をDB化し,統計的解析により降水量と浸水深,再現期間等の関係を町字ごとに整理した.三重県安濃川・岩田川流域への適用を通じ,降雨規模に応じた地区ごとの浸水特性を可視化した.本手法は,リアルタイム計算を必要とせず地域具体性の高い事前情報の提供が可能であり,行政における避難所運用や道路の通行規制等の初動体制の構築への強力な支援が期待される.