2026 年 32 巻 p. 7-12
令和6年に多自然川づくり基本指針が改定され,河川のダイナミズム等を視野に入れた川づくりの実施が求められている.しかし,河川のダイナミズムに関する技術情報が,既存の技術資料においてどのような内容や具体性をもって記載されているかは体系的に整理されていない.本研究では,国土交通省のウェブサイトに掲載されている技術資料を対象に,河川のダイナミズムに関する記載内容に着目したスコーピングレビューを行い,技術情報の現状を考察し,今後の課題と対応を提案した.分析の結果,ダイナミズムを考慮した技術情報は多く確認された一方,時間スケールや定量的な情報は限定的であり,具体的な数値情報は一部の資料に集中していた.これは,全国的な一般性と具体的な数値情報を併せ持つ技術情報を提供することの難しさを示唆している.今後,多自然川づくりを実行していくには,全国的な技術資料の役割と限界を理解し,地域資料や事例,学術図書等と組み合わせて技術情報を補完する視点が重要である.