2020 年 1 巻 1 号 p. 43-51
文部科学省は防災教育のねらいを3 つ挙げており、防災教育を行うにあたって、生徒に防災に関する「行動」を身に付けることがねらいであるとしている。しかし、学校教育において、防災「行動」を客観的に評価されているとは言えず、また客観的に評価する方法・尺度の開発にも至っていない。本研究では、まず中学生を対象とした評価尺度を開発し、外部基準の作成を行った。なお、評価尺度の質問項目の作成にあたっては地震・津波に関する防災行動に焦点を当て、地震・津波が発生する前の事前の「備え」に関する行動にしぼって質問項目を作成した。次に、その評価尺度を用いて394 名の中学生を対象にアンケート調査を行った。アンケート調査の分析では、質問項目の因子分析及び外部基準との関連を分析し、信頼性及び妥当性を検討した。その結果、評価尺度の質問項目は「家庭で行う防災行動」、「心理に関する防災行動」、「地域で行う防災行動」の3 つの因子で構成された。また、妥当性・信頼性も確保された。