防災教育学研究
Online ISSN : 2436-6315
Print ISSN : 2435-9556
東日本大震災被災三県沿岸地域学校における震災学習の現状
齋藤 玲小田 隆史
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2021 年 1 巻 2 号 p. 123-134

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抄録

この研究では、東日本大震災被災三県沿岸地域(岩手県、宮城県、福島県)の学校(小学校と中学校)における震災学習の現状を質問紙によって調査した。本稿では、発災9年目における学校の震災学習の内容や資料・素材、課題等について、それらの概括的な傾向を報告する。主だった結果として、a)震災学習において、原子力発電所事故や被害の規模(犠牲者数等)、災害時の人間の認知・行動の特徴、風評被害、学校(区)の災害発 生当時の様子は、他の項目と比べて扱われにくいことや、b)震災学習は、学校の防災訓練・避難訓練や特別活動、社会、理科、道徳、総合的な学習の時間を中心として実施されていること、c)震災学習では、教科書や県作成の副読本、市町村作成の副読本、ハザードマップ・防災マップ、一般的な画像・絵・写真が使われやすいこと、d)学校では地域と連携して震災学習を進められていること、e)半数の学校が震災学習の取り組みが十分であると認識していること、f)半数以上の学校が学校外の施設や場所を震災学習のために利活用できていないことが示された。本研究は、東日本大震災9 年目における、被災三県沿岸地域学校の震災学習の現状を明らかにした。

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