防災教育学研究
Online ISSN : 2436-6315
Print ISSN : 2435-9556
高等学校における地学・地理の学びを基礎とした防災教育の現状と課題
宮崎 亮太森永 速男
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2021 年 1 巻 2 号 p. 93-104

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抄録

自然災害多発の現代では、自然からの恩恵や負の側面である災害の理解に基づく災害への備えが必要である。本研究では、災害に備えるために重要な防災リテラシーの習得とそれに基づく実践が大切と考える防災意識の醸成に高等学校における地学や地理の教育が寄与できているのかを大学生と高校生を対象にして行ったアンケートの分析により考察した。その結果、①災害メカニズムを含む自然現象の理解やそれへの備え( 防災) について 系統だって構成された学びは防災意識の向上につながること、②現在の高等学校における地学や地理の学びは防災意識の向上や災害への備えや対策の向上に十分ではないが有効であること、しかし、③地学や地理の学びやそれらの中で防災を学べる機会が十分に用意されていないこと、等がわかった。防災意識をより向上させるためには、生徒の「我がこと意識」を育てることが必要である。そのためには、地域特有の自然環境と災害史を含む防災教育内容を提供し、またすべての生徒が地学と地理を学べる教育環境の整備が重要だと考えられる。

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