京都府福知山市は市中を流れる由良川水系の河川による水害の多い地域である。筆者らは福知 山市において、河川の利用や内水氾濫・外水氾濫と地形の関係を学ぶためのジオツアーを試行的 に実施した。ツアーでは、福知山城築城と城下町発展における川の地形との関係を見出すととも に、外水氾濫や内水氾濫の自然素因となりうる地形を実地に学べるコースを設定した。実践前後 のアンケート調査の分析に基づくと、参加者は微地形と歴史的建造物を観察することで、洪水災 害の自然素因と社会素因について理解を深めた。あわせて河川による恵みを享受してきたことも 理解を深めた。防災の視点を取り入れたジオツアーを展開する上での今後の課題は、知識レベル が異なる参加者に対応したガイドの工夫である。