2022 年 3 巻 1 号 p. 87-96
本研究では、南海トラフ巨大地震津波浸水想定域を対象としたドローン空撮映像を用いた大学 生のための防災教育プログラムを開発し、その有効性をあきらかにする。 われわれが開発したドローンの空撮映像を教材としたプログラムは、南海トラフ巨大地震の大 津波の知識を得たうえで、空撮映像という鳥瞰的、動的な画面から得られる3 次元の時空を重ね、 ハザードマップの津波浸水想定域を重ねることで、リアリティのある津波をイメージすることが できた。さらにその上に避難場所・避難所情報を重ねるという作業を行っている。そのことで、 津波の来襲状況および被害状況を、学生に直感的にリアリティ感をもって理解させ、その対応方 法を、立体感をもって行うことができるような仕掛けを備えているといえる。つまり、3 次元的 イメージに知識を積み上げることによって、次々と新たな情報が付加されたイメージがレイヤー のように重なっていく。そのことで、学習者の想像力を掻き立てていくのである。