災害被害の多い日本において、阪神・淡路大震災を機に学校での防災教育が推進されている一
方で、家庭における防災の学習については十分浸透しているとは言えない。本研究では、家庭に
おける防災学習や備えを推進する立場から、男女の違いに着目して、小中学生の子どもを持つ男
女が、防災に対してそれぞれどの様な意識を持ち、どの程度行動をしているのか、そして子ども
と一緒にどの程度話し合ったり、備えをしているのかを明らかにした。
その結果、防災に関する意識・知識・行動は男性が優位であること、家庭における防災につい
ての子どもとの学習は女性が行っている割合が高いこと、この1 年間で子どもと行った防災への
備えについては男女ともにライフラインと手軽さを優先する傾向があること、そして、防災の取
り組みについて、女性は日常の習慣や人との関わりなどのソフトの備えを、男性は非常時にどの
様に生き延びるのかといったところへの備えといった特徴があることが明らかになった。
いつ起こるか分からない災害に対して、防災における「自助」を強化するためには家庭におい
て保護者と子どもが共に行う防災学習をより一層進めていく必要がある。そのためには、保護者
の性別の違いによる強みを生かした家庭での防災の取り組みを行うと同時に、男性と女性による
知識の偏りをなくしていくことも重要である。
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