抄録
水災害が発生して避難する際に,浸水被害に遭遇する可能性が指摘されている.この場合は下半
身もしくは全身が水中に没するため命の危険に直結する一方,水没状態から陸に上がるために必
要な要素や技術についてはほとんど議論されてこなかった.そこで本研究では大学生を対象とし
て,様々な条件下において水中から岸に上がる容易度(離水容易度)を測定した.離水容易度が有意に低くなる要因として,女性であること,ライフジャケット着用状態であること,壁が凸型
の形状であることが判明した.特に女性は泳力に関係なく,ほとんどの被験者が,足がつく状態
でも水面から高さ30cmの陸に上がることができず,男性に比べて死亡事故につながる危険性が高
いことがわかった.