抄録
Bündnis Entwicklung Hilftが2011年から毎年公表するWorld Risk Reportは、世界各国の災害リスクを
測定する一つの指標となっている。そのレポートは、海面上昇に加え、自然災害に対する各国の
曝露量と脆弱性を分析してきた。2022年に改訂された最新レポートでは、災害リスクの高い国の
順位が大きく変化した。その最たる例として、レポートの発刊以来長期にわたって世界一災害リ
スクの高い国として認知されてきたバヌアツ共和国が最新レポートでは49位に順位を下げた。その背景には、レポートにおける災害リスクの算出方法の見直しが影響している。本稿は、バヌア
ツを一例にして、レポートの改訂による災害リスクの変化について精査し、その変化による影響
に左右されずに防災教育支援という国際防災協力を続ける重要性を主張する。