抄録
本研究の目的は、阪神・淡路大震災の生存者の語りを聞くことが、子どもへの防災教育に対する教師の自信にどのような影響を及ぼすかを検討することである。防災教育に関するアンケートを、震災の遺族による講演を受講した17名の教師に対して、講演の前後で実施した。アンケートは、防災教育の自己効力感を測る10項目と、講演の印象についての記述式回答を含んでいた。結果として、10項目のうち6項目で有意な向上が見られた。この結果は、災害生存者の語りを聞くことが、防災教育を実践する自信を高める可能性があることを示唆している。また、教師の印象分析では、過去に災害経験がある人だけでなく、未経験の人も「語りを継ぐことの必要性」を強く意識するようになった。しかし、防災教育の自己効力感を測る10項目の信頼性・妥当性はまだ確認されておらず、本研究は予備的研究である。