抄録
近年の学校教育での防災実践において重要視されているのが「主体的・対話的で深い学び」をど
のような手法で達成するのか、という視点である。この学びの過程で重要なことは、学びの内容
が、学習者の関心に沿って展開されているかどうかという点でもある。そうした関心をすくいあ
げるための一般的な手法として、授業アンケートがある。評価手法でもあるこの方法は、一方で、
調べる者と調べられる者との関係に、一定の権力関係をもたらしてしまう懸念がある。つまり、
回答者側に、評価懸念などの心理的作用が働く可能性である。本研究では、こうした一方向的な
アンケートによるバイアスをできるだけ軽減し、より双方向的なやり取りを可能とする手法とし
て、メッセージカード方式を導入した。結果として、従来の授業アンケートよりも、メッセージ
カード方式の方が、より「多様な視点をもった質問」が増加することが分かった。以上より、授
業本体だけではなくて、そのフォローアッププロセスに、従来の“授業アンケート”ではなく、
より対話的な手法、つまりメッセージカード方式を導入することも、「主体的・対話的で深い学
び」を実現するための方策になりえるとの示唆を得た。