Research Journal SCU -下関市立大学研究論文-
Online ISSN : 2759-2642
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G7諸国における児童虐待防止に関する制度政策の比較分析――日本の制度的展開と課題――
中澤 宏規三輪 正太郎太田 麻美子
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2025 年 2 巻 p. 63-79

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抄録
児童虐待は子どもの健全な成長を阻害し、社会全体に深刻な損失をもたらす重要な課題である。日本では、児童相談所への児童虐待相談対応件数が年々増加にともない、法制度や行政施策の整備が進められてきたが、制度形成の経緯や他国との比較に関する研究は限られている。本研究では、G7諸国(アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア)との比較を通じて、日本の児童虐待防止政策の成立過程と変遷を明らかにし、現状の課題を検討することを目的とした。制度化の契機と、政策の変遷に焦点を当てた文献レビューの結果、日本の制度整備は最も遅く、民間の関与が限定的であった。また、予防教育や研究体制に関する制度も十分に整っていないことが明らかとなった。今後は、科学的根拠に基づく予防政策の強化とともに、行政・教育・民間・学術分野の連携による包括的支援体制の構築が求められる。
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