2017 年 73 巻 p. 72-85
「デジタル・フォレンジック」とは、データ修復などの手段を通じ、デジタル媒体(ハードディスク、サーバなど)上の証拠保全を行うことを意味する。英語圏(北米、豪州など)では、デジタル・フォレンジックは記録管理・アーカイブズ活動の一端として位置づけられているが、日本では単に「訴訟・捜査や情報セキュリティのための活動」として理解・実践されているのが現状である。本稿では、文献調査や米国アーキビスト協会(SAA)大会への参加経験などに基づき国際比較を行い、「ボーンデジタル世界における証拠保全」として記録管理・アーカイブズ活動を原点から見直すために、デジタル・フォレンジックを論じる。