2022 年 82 巻 p. 20-32
明治期に来日した英国人鉄道技師の経歴と貢献を知るためには、英国側史料も重要である。父親の職業を含めた家庭環境、教育、来日前の実務経験を調べると、日本における功績の意味合いや赴任の動機を深く知ることができ、離任後の活躍の背景も浮かび上がる。彼らの貢献には、日本の近代化の礎を築き、人材面での自立化の道筋を立てた側面もある。
本稿では彼らの経歴にまつわる英国の史料を取り上げ、保存している機関の利用法を紹介し、その上で事例として初代技師長エドモンド・モレルの経歴調査方法とその結果、および1901年3月31日の漱石の動向を簡単に取り上げる。