抄録
2011年の大学設置基準の改正により、実質的に大学でのキャリア教育やキャリア形成・就職支援が義務化された。人生100年時代を生きていかなければならない現代の学生にとって、キャリア教育に必要な要素とは何かを探るべく、本研究では、就職活動の成果を実就職率とし、実就職率が、他の大学と比較して相対的に高い大学では、特徴のあるキャリア教育が行われているのではないかと仮定した。そこで、大学通信オンラインの2021年度学部系統別実就職率ランキング(経済系)の上位30校の中の筆者の所属する大学と同じ校種である公立大学のみを取り上げて、各大学のキャリア教育のシラバスを調査した。先行研究で何度も、「以前は就職支援として正課外で行われていたものが、キャリア教育として、正課内に組み込まれていった」という指摘があるが、公立大学においても、その傾向が強かった。しかし、実就職率が相対的に高いということは、このようなキャリア教育が、ある意味、効果的であったとも言える。それでは、引き続きこのようなキャリア教育を続けていくことが良いことなのか。今後は、さらに研究を深め、キャリア教育の方向性を探っていきたい。