抄録
本研究は、日本の高等教育機関におけるグローバル人材育成について、語学教育や海外留学への偏重という批判を踏まえた上で、近年の国内プログラムに関する論文や実践報告等を概観し、教養教育で培われるスキル育成の方法論や学習の過程を整理し、課題を明らかにすることを目的とした。分析の結果、グローバル人材育成に資する既存の国内プログラムは、産業界が大学卒業生に求めるスキル育成に概ね貢献しており、実際の海外経験でなくとも効果を有するという知見が得られた。また、PBL(Project-based Learning)やインターンシップ及びアクティブ・ラーニング等の活動形態も産業界の期待に応え導入が進んでいるが、その対象者や研究データは少なく評価方法も様々で、教育的介入による学習の過程が示されておらず、継続的で広汎な学際的分析を要するという課題が明らかとなった。