リカレント教育は、1973年OECDの報告を受け、その後、ヨーロッパを中心とする海外において経済成長を促すための人的資本の蓄積が進んだ。一方、日本においてはリカレント教育を生涯学習体系に組み入れ、直接的に経済成長を促すものではなかった。本研究では、リカレント教育を歩んだ日本における歴史的変遷を整理するとともに、人的資本の観点から考察することを目的とした。政府資料、各大学資料に基づき文献的考察を行った結果、2000年に入っては経済成長につなぐリカレント教育の動きがみられはじめ、労働力の量的な拡大を目指す再教育・職場復帰型の「教育代替型」が主流であったが、2010年代後半に入っては既修得能力を発展させていく「教育補完型」が主流となった。このことから、リカレント教育課程の拡大が人的資本の蓄積を通じて日本の経済成長に寄与したものと考えられる。