抄録
少子高齢化に伴い、日本の Z 世代の人口割合は全人口のうち低い傾向を示している。日本における Z 世代の研究は少なく、Z 世代の定義すら曖昧な記述が多い。本研究では、日本の Z 世代の定義を明らかにした上で、教育的かつ経済的背景から Z 世代のファッションに対する購買行動を整理し、国内のアパレル産業の特徴との関連性を文献的に検討することを目的とした。結論として、国内における Z 世代とは、「1995 年から 2010 年までの生まれで、デジタルデバイスに触れてより多くの時間をネット上で過ごし、ソーシャルメディアを通じて消費行動をとる世代」と定義付けた。教育的かつ経済的背景から購買行動を整理すると、ゆとり教育により大衆的なトレンドやブランドよりも自己スタイルやライフスタイルへの一致などといった価値を重視しており、消費者のニーズがより細分化されたと考えられる。また、長期的な経済の不況または就職が安定しない経済的背景から、収入の減少や衣服に割ける金額も減少している可能性があることが示された。つまり、Z 世代のファッションに対する購買行動は国内のアパレル産業に影響を与えている可能性があることが示唆された。今後、日本の Z 世代の衣服に対してのニーズを具体的にヒアリングすることで Z 世代がアパレル産業に求めるファッション商品の特徴をより明確にする必要があると考えられる。