教育経済学研究
Online ISSN : 2436-1801
Print ISSN : 2436-1798
障害者の就労定着のための学校と企業、支援機関の連携支援についての基礎研究
權 偕珍下條 満代趙 彩尹
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 6 巻 p. 41-54

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抄録
現在日本では、障害者にとって働くこととは社会参加や経済的自立の手段であり、障害者の自立にとって不可欠のものであるとして、障害者の働く権利が障害者雇用促進法や障害者雇用率制度等によって保障されている。それにより民間企業における障害者の実雇用率が年々向上している一方、障害のない人に比べて離職率が高いことが課題となっている。 そこで、本研究では、障害者の安定的な就労を維持するために必要な支援は何かについて明らかにするため、障害者を雇用する事業所にはアンケート調査を、教育的課題に焦点を当てた学校及び学校と事業所をつなぐ支援機関には聞き取り調査やアンケート調査を行った。さらに、それによって得られたデータを用いて、テキストマイニング等の分析を行った。 調査の結果、主に3つの支援の重要性が明らかになった。1つは、事業所が障害者を実習や雇用において受け入れる際、受け入れ体制を整備することや、事業所が障害者雇用に関する助成制度を把握し、理解することである。2つ目は、学校・事業所・支援機関の各機関がより密接に連携をすることである。3つ目は、就労に必要な要素には、その職種に関する能力だけでなく、日常生活を適切に送ることも含まれるため、生活が安定した状態で働けるように家族や福祉サービスの支援を充実させることが必要であることが明らかになった。
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© 2024 公⽴⼤学法⼈下関市立大学
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