抄録
本研究は、子どもたちの教育活動における様々な認識や意識の違いと自尊感情の関係を質問紙調査により明らかにするものである。多岐にわたる自尊感情に関する研究のなか、他者との関係性に焦点を当てると件数はかなり絞られてくる。さらに、友達、教師以外の大人との関係性に触れたものは極めて少ない。
2017年に地教行法改正により学校運営協議会の設置が努力義務となり2024年には全国の6割以上の小中学校がコミュニティ・スクールとなった。従来の学校に比して圧倒的に異なるのは大人の来校者が極めて多いことである。おそらく、地域の大人を中心とした組織的計画的な学校支援の始まりにより、これまでの教育では、あまり着目されることがなかった環境的な変化が生じている。そこで、他者(大人)との関わりと自尊感情の関係から様々な活動における意識の変容を検討することとした。子どもたちは、大人の活動を外観するだけでなく、協働したり合同の授業を体験したりもする。こうした取り組みは、旧来の学校教育では起こりえなかったことであり、新しい時代の学校の姿として認識すべき事実であることを示した。