抄録
本研究は、中国の新規学卒した就職者における教育過剰の現状と今後の課題を文献的に検討することを目的とする。教育過剰の直接的な表れとして、職位の学歴要求が新規学卒者の学歴よりも低い場合があることが示されている。9件の対象文献を検討した結果、仕事への満足度の低さや給与の低さが原因で、雇用する側の企業と働く側の新規学卒者の能力やスキルの需要と供給が一致できず、教育過剰となることが明らかになった。また、教育過剰を緩和するためには、職業教育の積極的な実施と地域間の教育格差の解消が必要であることが示された。今後、中国の労働市場における新規学卒者の教育過剰についてデータに基づいて実証的に検証する必要がある。