抄録
本研究は、通常の学級及び特別支援学級に在籍する小学生を対象として、肢体不自由児の病理的特性の観点から「心理・健康面に関する合理的配慮」について整理し、検討することを目的とした。国立特別支援教育総合研究所のデータベースから 23件の実践事例を抽出し、脳性疾患、脊椎・脊髄疾患、筋原性疾患の分類に基づき分析を行った。その結果、脳性麻痺における自律神経系の機能不全に伴う体温調節の困難や、進行性疾患における疲労の蓄積しやすさなど、外見からは見えにくい特性に基づいた環境調整の重要性が示唆された。また、心理面では「自己選択・自己決定」の機会確保が自立に向けた心理的基盤となることが明らかになった。教師には、病名のみならず、病理がもたらす内部メカニズムを理解した上での専門的な支援が求められることが示唆された。