大規模経営や大区画圃場に適した耕起体系であるプラウ耕が水田地帯でも導入され始めている.しかし,慣行耕起法であるロータリ耕と比較してプラウ耕では気相率が低く,表層5 cm 以深が硬いため,根の生理的活性や根系分布が異なることが考えられる.そこで,本研究では,黒ボク土の水田転換畑におけるプラウ耕がトウモロコシの出液速度および根系分布に及ぼす影響について調査した.試験は,黒ボク土の水田転換畑にロータリ区およびプラウ区を設け,トウモロコシ2 品種を播種して実施した.本試験では,生育時期別の地上部乾物重および窒素吸収量に耕起法による差は認められなかった.根の生理的活性の指標として測定した出液速度にも耕起法の差は認められなかった.成熟期のトウモロコシの根系について,深さ0-15 cm の根長はロータリ区よりプラウ区で小さい傾向であったが,深さ0-5 cm の根長は同程度であり,根の深さ指数が小さい傾向であった.以上の結果,黒ボク土の水田転換畑においてプラウ耕で栽培したトウモロコシの根系は浅根化するが,根の生理的活性はロータリ耕と同等であることが明らかとなった.