根の研究
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原著論文
干しいも加工用サツマイモ栽培時のポリエチレンマルチ畦被覆と被覆期間が塊根形質ならびに干しいもの特性に及ぼす影響
藏之内 利和高田 明子藤田 敏郎片山 健二西中 未央田口 和憲
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2022 年 31 巻 3 号 p. 83-89

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抄録

干しいも加工用サツマイモ栽培時のマルチ畦被覆が,土壌水分やサツマイモ塊根の諸特性並びに加工特性に与える影響を,マルチ畦被覆区,収穫1か月前除去区,同2か月前除去区および無マルチ区の4種類の処理区を設け,晩植栽培により5か年にわたり調査した.サツマイモ栽培時にポリエチレンマルチにより畦を被覆することにより,降雨や乾燥に伴う畦内土壌水分量の変動が抑制されていることが確認された.晩植栽培において,マルチ畦被覆によって塊根の収量は増加することが明らかとなった.「タマユタカ」 の無マルチ区は他の試験区よりも裂開発生率が有意に高く,生育初期のマルチ畦被覆によって裂開発生率は低くなると考えられた.また,「タマユタカ」 では土壌水分の多い年次に裂開の増加が認められたが,この傾向は 「ほしこがね」 では認められなかった.干しいもの肉質は無マルチ区で最も粘質の傾向であり,収穫の約2か月前にマルチ被覆を除去すると干しいもの肉質がやや粘質化する可能性が示唆された.しかし,収穫の約1か月前に除去した場合は,干しいもの肉質に与える影響は小さいと考えられた.

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