根の研究
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イネにおける可塑的な側根形態制御機構
河合 翼犬飼 義明
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ジャーナル オープンアクセス

2026 年 35 巻 1 号 p. 9-22

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抄録

イネの側根には,形態・組織構造および機能の異なるS型側根とL型側根の2種類が存在する.天水田や圧縮土壌など根域が制限された環境下では,乾燥や主軸根の伸長阻害に応答した側根の可塑的発達が,地上部生育維持に重要となる.しかし,普段目に見えない根系の可塑的形質は観察・評価が困難で,可塑的な側根発生制御の分子機構は未解明であった.そこで著者らのグループでは,種子根の根端切除によりL型側根形成を人為的に誘導する手法を用い,イネの可塑的な側根形態制御機構を解析した.根端切除に野生株と異なる応答を示す変異体の解析およびS型 / L型側根原基のトランスクリプトーム解析から,WUSCHEL-RELATED HOMEOBOX (WOX) 転写因子群が側根原基サイズを拮抗的に制御する機構を明らかにした.さらに,側根原基におけるオーキシン分布が側根原基サイズ制御に関与し,L型側根原基では基部にオーキシンが蓄積し,側根原基サイズ制御の促進因子として働くOsWOX10の発現が誘導されることを示した.加えて,Semi-hydroponic phenotyping法を用いた栽培学的解析から,主軸根の根端切除に応答して形成されるL型側根が,失われた主軸根の機能を補償し,根系発育および地上部生育の維持に寄与することを明らかにした.本稿では,これらの研究成果を中心に,イネにおける可塑的な側根形態制御機構について解説する.

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