老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
資料論文
老人福祉施設における苦情解決システム
――「第三者委員」の役割の検討 ――
金 高誾黒田 研二
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2009 年 30 巻 4 号 p. 489-497

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抄録

 本研究は,老人福祉施設の苦情解決状況を把握するとともに,第三者委員の役割を明らかにし,苦情解決機能のいっそうの強化を図る方法を検討することを目的とした.大阪府の老人福祉施設347施設について分析を行った.苦情解決体制および運営状況に関する項目の度数分布を調べ,苦情の有無別,第三者委員の人数別,1年間の第三者委員の施設への訪問回数別の比較分析を行った.苦情がない施設では,約4割近くで第三者委員の活動が行われておらず,苦情解決体制を利用者に周知している施設が少なかった.第三者委員の人数については,単数より複数の第三者委員を設置している施設が,苦情解決により積極的に取り組んでいることが確認された.1年間の第三者委員の施設への訪問回数では,12回以上の施設で,活動内容,苦情をくみ取るための工夫においてもより積極的で,第三者委員の設置効果を認めているところが多かった.より効果的なシステム運営のためには,苦情がない施設を目指すのではなく,利用者が苦情をいえること,また利用者の意見を苦情として認識可能な形にすることが必要である.さらに,苦情解決機能を高めるためには,複数の第三者委員の設置および第三者委員の施設への訪問回数を増やすことが重要である.

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© 2009 日本老年社会科学会
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