2010 年 32 巻 3 号 p. 328-337
介護保険施設は,要介護高齢者にとっては生活の場である生活施設であり,災害時には地域の災害時要援護者の避難受け入れや被災後の生活復興,地域の要援護者への支援機能をもつ地域にとって強力な機能を有する施設となる.介護施設における被災時の避難には要介護高齢者の介助避難が必要であるため,避難の安全性を重視した安全確保態勢をとっておくべきである.
本論では,介護保険施設を対象にした防災・減災に関する意識調査により,施設の被災経験がその後の防災にどのように生かされるかの分析を試みた.その結果,被災経験のある施設は被災の危惧が強い傾向がみられた.被災経験は避難や防災への意識を喚起し,それを災害への備えに反映させることが期待されるといえよう.施設の被災経験は1割程度であり,施設は安全であるといえるかもしれないが,利用者・家族に対しては,災害時の対処の方法を過半数の施設が説明していないという実態もまた明らかになった.