2010 年 32 巻 3 号 p. 317-327
高齢化が急速に進むわが国において認知症高齢者の介護は大きな問題となりつつある.本稿は,介護職員の体験構造を相互作用の視点をもって明らかにする研究のひとつであり,認知症デイサービス職員が意識することについてインタビューを行い,参与観察から得たサブデータをガイドに探索的に分析,構造モデル化して検討を加えた.
職員は,介護を「利用者を受け止め支える」ことであると,精神的側面に重きをおき,また支えることの双方向性を感じつつ,意識していた.職員は,認知症の利用者や同じ利用者を介護する同僚,利用者家族に対して共感を覚え,同時に認知症の利用者に対する介護職員としての無力感や「わからなさ」感,同僚や利用者家族への疑問からジレンマを意識していていた.利用者を統合的にとらえることやジレンマの軽減が,介護職員の利用者理解や自己肯定につながり,介護の質や職員のメンタルヘルス向上へつながることが予見された.