2011 年 33 巻 1 号 p. 47-59
1995〜2009年までに国内で発表された高齢者の社会関係周縁部に関する量的実証研究をレビューし,社会関係の測定に用いられている指標について検討した.文献検索には社会老年学文献データベースDiaLを用い,77件の論文を取り上げた.
検討の結果,①社会関係そのものの分析を主たる目的とした論文ではタイ単位の測定が多く行われていること,②他者の続柄の区分は厳密さを欠き,交流の指標もまちまちであること,③タイ単位の測定では,他者を選定する際の基準と選定する他者の人数がとくに重要で,さらなる検討を要すること,④最周縁部の他者を分析対象として選定できる基準はいまだ開発されていないこと,が示された.
周縁部の他者を調査・測定する方法を開発し,高齢者の社会関係そのものに関する研究を重ねることが必要である.