老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
原著論文
要支援から要介護3の後期高齢者の認知機能・うつ傾向・握力に対する二重課題の有効性
―― デイサービスにおける「かぞえて体操」の実践を通じて ――
菊池 有紀薬袋 淳子島内 節成順 月
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2012 年 33 巻 4 号 p. 555-565

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抄録

 本研究の目的は,デイサービスを利用する要支援から要介護3までの後期高齢者が,座位で50から0まで声を出して数えながらセラバンド運動を行う「かぞえて体操」(二重課題)の実施が,認知機能とうつ傾向,筋力(握力)に有効であるかを検証することである.

 3施設のデイサービスから,介入群63人,対照群59人を選出した.介入群は,連続12週間中の利用日(週平均2.0±0.8回)に二重課題を実施し,介入前後のMMSE得点,GDS得点,握力について多重ロジスティック回帰分析による比較検証を行った.

 分析対象は,介入群61人,対象群55人であった.介入群は,MMSE得点とGDS得点,握力が有意に向上し,オッズ比はそれぞれ5.12(95%信頼区間:2.11-12.42)と2.95(1.28-6.83),右手3.40(1.36-8.46),左手3.25(1.40-7.55)であった.対照群は変化がなかった.

 デイサービスを利用する要支援から要介護3までの後期高齢者が二重課題を実施することで,認知機能とうつ傾向の改善と,筋力の向上に効果的であることが示唆された.

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© 2012 日本老年社会科学会
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