目的:施設ケア場面における高齢者の転倒の発生状況について,いつ,どこで,どのような転倒が起こりやすいのか明らかにすることを目的とした.対象:7高齢者介護施設に入所する146人.調査デザイン:後ろ向きデザイン.手続き:過去1年間の転倒事故報告書に基づいて調査した.結果:74人(50.7%),209件の転倒が報告された.場所では居室,転倒タイプでは立位/歩行からおよびベッド周辺での転倒が多く報告された.発生時間のピークは6時,9時,19時であった.1日の時系列に沿った分析から,夜間から日中にかけて,ベッド周辺での移乗に伴う転倒から居室以外での活動に伴う転倒が増えることが示された.また,起床や就寝,朝食やお茶,夕食等,移動を伴う活動の際に発生しやすいことが示された.考察:施設での生活の流れに沿って転倒の発生しやすい状況が変化すると考えられた.今後,生活の流れを考慮した転倒防止が必要と考えられた.