2012 年 34 巻 1 号 p. 16-28
本研究は,高齢者の同性友人関係(現実と期待する友人との関係性)とその性差を調べた.さらに,現実と期待する友人関係,およびそれらのズレと主観的幸福感との関連を調べた.調査対象者は,59〜84歳の男性337人,女性377人であった.友人との関係性についての因子分析の結果,気楽な関係と有用な関係の2つの因子が抽出された.男性と比べて,女性の現実の友人関係は気楽で,有用なものであった.そして,女性は男性よりも友人関係に気楽な関係と有用な関係を期待していた.現実の友人関係が気楽であり,有用である者ほど,主観的幸福感は高かった.また,気楽な関係を期待している者ほど,主観的幸福感は高かった.これらの結果に性差はなかった.有用な関係の現実が期待以下の男性よりも,現実が期待以上の男性のほうが主観的幸福感が高かった.これらの性差について考察した.