2012 年 34 巻 3 号 p. 382-393
本研究は,小学校時における高齢者の絵本読み聞かせボランティア“REPRINTS”との世代間交流が中学入学後の地域活動参加意識に及ぼす長期的効果について検証した.調査対象者は川崎市の中学1年生181人であり,そのなかで小学生時に“REPRENTS”と交流体験がある55人を「交流体験あり群」,交流体験がない126人を「交流体験なし群」として効果の検証を行った.パス解析を実施した結果,「交流授業体験」が,「高齢者ボランティアとの親密さ」「絵本読み聞かせへの関心」および「高齢者イメージ」を媒介として,中学入学後の「地域活動参加意識」の向上に影響していた.また,「性別」が「絵本の読み聞かせ関心」を媒介にして「地域活動参加意識」を規定していた.青年前期の地域活動参加を促すには,児童期の世代間交流体験,性別に加えて高齢者イメージ,交流プログラムへの関心,高齢者ボランティアとの親密感といった認知・情意的プロセスを考慮した交流内容が重要になろう.