地域在住高齢者のレジリエンスの構成概念を検討した.レジリエンスを,疾病などの健康関連の逆境に直面した際の生活機能の回復と維持を促進する認知的・心理的特徴と定義した.研究協力者(N = 20,平均年齢81.45歳,年齢範囲は72〜92歳)に,直面した健康関連の逆境の内容と,回復や維持を進めるにあたっての努力や工夫について,インタビューを行った.回答の逐語録から,①活発化(新奇性への興味,直感の重視,持続力,活力),②自然体(コントロール,楽観性,自然の流れを選択),③人生の目的(これからをどう生きるか,肯定的受容,過去の克服の成功感,現実に合わせた再構築),④関係志向(サポート希求,貢献の欲求,関係の基盤),⑤マネジメントスキル(情報への敏感さ,残存能力の活用,勤勉さ,評価)という5つの構成概念を得た.レジリエンスは連鎖的に回復・維持を促進する構成概念から成り,レジリエンスには認知的予備力が配分されていることが示唆された.